若松コミュニティセンター
■ 概要
- 用途:コミュニティセンター、役場支所
- 所在地:長崎県南松浦郡新上五島町若松郷
- 構造:下部鉄筋コンクリート造 + 上部木造(ハイブリッド構造)
- 階数:地上1階
- 延床面積:1,090.13 ㎡
▼公共施設の設計の考え方(多様な使い方の提案など)についてはこちらで解説しています
▼私たちが設計に携わったこの施設で、地元の中学生に向けて行った職業講話(地域活動)の様子はこちら



〜視線が交差し、新たな活動が生まれる。木の温もりに包まれた地域の居場所〜
長崎県新上五島町の若松地区に計画した「若松コミュニティセンター」。
私たちが目指したのは、単なる公共施設ではなく、訪れる人が互いの活動に刺激を受け、
自然と交流が生まれ、そして心地よく長居したくなる「地域の新しい居場所」です。
視線が抜け、「やってみたい!」の連鎖を生む空間
施設に一歩足を踏み入れると、ガラス張りの間仕切り越しに館内の様子が一望できます。誰かが本を読んでいる姿、談笑している風景、イベントを楽しむ様子。そんな「他の人の活動」が自然と視界に入ることで、「自分もやってみたい」「参加してみようかな」という前向きな連鎖が生まれるよう設計しました。道路側からも中の楽しげな雰囲気がにじみ出る、地域に対して開かれた施設となっています。
用途を限定しない、余白のある共用ラウンジ
設計にあたり、私たちは既存の施設の利用状況を緻密に分析し、部屋を細かく区切るのではなく、大らかに兼用できる空間が必要だと考えました。エントランスから続くユーティリティスペースやロビーは、ワーケーション、学生の学習、待ち合わせ、地域情報の収集など、誰もが自由に使える多目的な場所です。この用途を限定しない「余白」が、世代を超えた人々の自然な交流を育みます。

木の温もりと豊かな自然に包まれ、つい長居したくなる場所
施設の大きな特徴が、最大10mの伸びやかなスパンを持つ木造の屋根架構です。木材を活かした美しい木天井が現しとなっており、施設全体に木の温かみと安心感をもたらしています。さらに、利用者エリアを景色の良い北側に集約させることで、若松港の穏やかな海や、龍観山の豊かな緑を感じながら過ごせるように配慮しました。木の香りと美しい借景が訪れる人を優しく包み込み、時間を忘れて長居したくなる空間を目指しています。
安心を支える、見えない工夫
このような開放的で温かみのある空間は、土砂災害などのリスクから建物を守る強固な鉄筋コンクリートの下部構造と、建物を軽量化する上部の木造架構という「ハイブリッド構造」によって実現しています。災害時には地域の防災拠点として機能するよう、停電に備えた非常用発電機や独自の対策も備え、地域の人々の安全をしっかりと守ります.
美しい自然に寄り添いながら、人々の視線と活動が交差する「若松コミュニティセンター」。この場所から、若松地区の新たな活気と繋がりが育まれていくことを願っています
