建築物定期報告について

今日は、お客さんと話をする中で、建築物の定期報告の話題になりました。
自分なりに理解して、整理した内容を備忘録の代わりとして記載します。

定期報告とは何か

建築を建てる際には、確認申請(建築基準法上問題ないことを設計段階で審査すること)と、
完了検査(確認申請で審査された内容の通りに適切に工事されているか)のプロセスがあります。

定期報告とは端的に言えば、建物を運用してからの法規上の確認を定期的に行うことです。
以下、国土交通省HPより抜粋です。


【建築物の使用が開始された後も、引き続き、適法な状態を確保し続けることが重要であるという考え方から、
 定期的な調査や報告を求めることとしています。これがいわゆる「定期報告制度」です。

 具体的には、建築物の損傷や腐食などの劣化状況の点検を基本としていますが、不適切な改変行為などによって、
 違反状態を生じていないかどうかのチェックも合わせて実施し、
 その結果を行政に報告することを建物所有者に義務づけています。

 こうした法定の定期報告の実施に当たり、建築物の「調査」、建築設備・昇降機の「検査」については、
 それぞれ法令に基づく資格者でなければ実施できないこととされています。
 なお、平成28年6月から運用が始まる新たな制度では、資格者制度自体が見直されております。】


定期報告は用途や規模によって定められています

定期報告は、特定建築物等、自治体によって定められていますので、HPなどで確認ができます。
建築の所有者される方に連絡があると聞きますので、そこで定期報告が必要かどうかは分かると思います。



①特定建築物定期調査(3年に1度)

 不特定多数の人が利用する特定建築物(国等が所有又は管理する建築物を除く。)について、敷地、一般構造、構造強度及び防火・避難関係を用途・規模によって毎年又は3年ごとに、調査者(特定建築物調査員、一級建築士又は二級建築士)が調査し、特定行政庁に報告するものです。

 調査内容は下記です。
  1.敷地及び地盤
  2.建築物の外部
  3.屋上及び屋根
  4.建築物の内部
  5.避難施設等
  6.その他


② 防火設備の定期検査報告(1年に1回)
 

①の対象の特殊建築物等について、防火設備(常時閉鎖式の防火設備、防火ダンパーを除く。)を毎年、検査者(防火設備検査員、一級建築士又は二級建築士)が検査し特定行政庁に報告するものです。

 調査対象は、防火扉・防火シャッター・耐火スクリーン・ドレンチャーなどとなります。


③建築設備の定期報告(1年に1回)

①の対象の特殊建築物等について、建築設備を毎年、検査資格者(建築設備検査員、一級建築士又は二級建築士)が検査し特定行政庁に報告するものです。

調査内容は下記です。
  1.換気設備(自然換気設備を除く。)
  2.排煙設備(排煙機又は送風機を有するもの)
  3.非常用照明設備
  4.給水又は排水の配管設備


④昇降機の定期報告(半年に1回)

エレベーターなどについて、全ての建築物で半年ごとに検査者(昇降機等検査員、一級建築士又は二級建築士)が検査し、特定行政庁に報告するものです。


 (※)参考 一般財団法人 日本建築防災協会HP
       一般財団法人 日本建築設備・昇降機センターHP
       長崎県 特定建築物等の定期報告作成要領

他にも消防設備の点検なども必要です

安全な建築運用のためには、消防設備点検も別途法令上必要となっています。

タイル張りの外壁の場合は、外壁タイルの落下防止を目的とした調査などもあります。
安全に建物を運用していくためには、様々な建物の機能をチェックしていく必要があります。

改修などを行う際には、この辺りの状況を的確に把握した上で、
施主要望を満足する改修をする必要があります。