最も影響を受けた建築

アントワープ駅(ベルギー)

大学院生のとき就職活動の前に、欧州3か国(イタリア・オランダ・ベルギー)を巡りました。

正直、建築設計に進むべきか迷っていた中での旅行で、改めて自分を見つめなおすためのものでした。
その中で、最も印象に残っていて自分の進む道を示し、大切な価値観に気づかせてくれた建物がこのアントワープの駅舎です。

電車を降りると、地下から地上までの吹き抜け空間に圧倒されました。
(カメラが昔のもので、画像がよくないですが。。。)

4層~5層分くらいのエスカレーターを上ったとき、鉄骨のフレームから入ってくる光が心地よかったのを覚えています。

反対側を見ると、歴史のある駅舎があります。築100年以上の歴史を持つ建物に対して改修された直後にここに運よく訪れることができ、歴史を持つ建築に対して新たな歴史を重ねるというよさを感じることができました。

高校生までは長崎に住んでいましたが、原爆を投下された歴史を持つため、1950年前後に建てられた建物も多く、古い歴史に新しさを加えたような建物はあまり見ていなかった記憶にあります。

手を入れてでも何としてでも使いたいと思えるような建物って、とてもいろんな人の記憶や思い出にきっと残っているものだと思います。

過去の雰囲気を残しながら次の時代につないできているからこそ、欧州は歴史のある街として成り立っているわけだし、流行りのものではなくいい建物がきっちり残っていくのだろうなということを感じました。

居心地のよい空間をつくっていけること、人々の生活を支えられること、いろんな人の記憶や思い出に寄り添えること。この建物に巡り合えたからこそ、建築設計の道に進もうと思えたと思います。
またこの建物の在り方は自分にとって、理想です。

建築設計をする上で、新築をやりたいと思う建築家・建築士の方は多いと思います。

ただ私自身は、素材や外観・内観もそのときの流行に左右されることなく、「時代が経っても価値観が変わらないもの」「手を入れてでも使い続けたい」と感じれる建物に関われたらと思っていますので、新たな価値を重ねる改修も楽しい仕事だと感じています。

大阪で組織設計に所属していた際にも、新築・改修問わずに仕事をしてきました。
「太陽の塔」や「御影公会堂」は、非常に関西でも思い入れのある方が多い建物でした。そういった建物に関われたことは非常に幸運だったと思います。

ともに非常に難しい仕事でしたが、経験を活かしながらこれから地元長崎のために建築設計に携わっていくことができればと考えています。