建築主の方の本音を理解する

大阪で10年間建築設計の仕事をして、長崎でも丸2年少しが過ぎました。

大阪と長崎で考え方が一番変わったと思うところは、
長崎に戻ってきて自宅の設計をして建築主側の気持ちが理解できるようになったことだと思っています。

もちろん、大阪で設計していた時も、
それは懸命に建築主のためのことを考え、提案して、悩みながら設計をしていたものです。

自分が建築主側の立場として悩んだこと

以前の記事でもざざっと書きましたが、ポイントごとに再度整理してみました。

■まず1つ目に金額のことについて悩みました。
 総額いくらになって、それをどう工面していくのかということです。

 建築設計をする側の人間としては、
 金額をかければかけるほどいいものができるということは常に理解していますが、
 【ここはきっちりこだわって美しくつくりたい】というポイントが多々あります。

 そうは言っても、全体の予算や家族の中での優先順位の中、どこまで実現するのか考える必要がありました。


■2つ目に、建てる以外のことを理解して、詰めていく必要があることでした。
 土地の売買のこと、登記のこと、保険のこと、補助金のこと、税金関連のこと。
 これらは、経験したことがなかったこともあり、
 分からないながらも流れをきっちり理解しながらも進める必要がありました。

 設計は何度も経験していますが、勉強しながら理解する部分はかなり苦労したところです。


■3つ目は、家具です。
 家具を設計して工事の中で制作をお願いするにしても、購入する家具にしても、
 家の中の今の段階の収納量をまずは理解した上で、
 これから先増える分も見越して考えていくことでした。


■4つ目は、施工いただく工務店を探すこと。
 工務店の方からすると、建築のことに詳しいわがままを言う建築主だったと思いますが、
 そういう工務店さんがあるのか、信頼してお願いできる工務店さんなのか、数社面談して決めました。

他にも書き出せばたくさんあり、キリがありません。
こういったことを、会社の仕事も全うし、チームのメンバーにも迷惑かけないために、
帰宅後の深夜や、休日に設計をしていました。

休まることなく、何度も気が狂いそうになったこと覚えています。

建築主の悩みに寄り添って仕事をしたいと思っています

こういった、数々の悩みを経験したからこそ、
建築設計は建築主の方の悩みの一つであり、もっともっとたくさん悩まれていることを理解しました。

さらに、下記の本を読んで、知識を得ています。

別に本の紹介をするわけではありません。

ただ、一般的に建築主と設計者の間の信頼関係が失われるとき、
考え方の食い違いがあったり、思ったことが伝わっていない・理解できていない中で設計している。
そういったケースがあるように感じます。

正直、7割8割の事例は、そりゃ当たり前で、まずいでしょう。。。といったことがほとんどです。
残り2割3割はこんなこともあるんだということが載っていますので、
そういったことを知らないまま、建築主の方に不利益を被るようなことがないようにしたいと思っています。

事例として載っているものをきっちり理解した上で、頭を一度整理して読み込みたいと思います。