発注者の悩みに対して建築家が解決できること

昨日は、あるプロジェクトに関する打合せでした。
打合せの中で、改めて自分の考えを振り返るいい機会になりました。

待ちのスタンスでは前向きに設計は進まないと思っています

我々設計をする側としては、建築設計をする部分に注視すればいい!
条件は発注者が出してくれるまで待てばいい。
条件を出してくれないから設計ができない!

そういう設計をする人を見てきましたが、一切そのスタンスを正しいと思いません。

設計する者の言い訳であり考えを放棄して、本当の発注者の悩みを分かっていない人と思います。

発注者の悩みは建築の計画はごく一部の要素でしかないです

悩むポイントはいくつもあると思います。


これらの負担がたくさんのしかかるのが、発注する人の悩みです。
あくまで建築計画に関する悩みは、この中の要素の1つです。


何が言いたいかと言うと、建築計画をしていく中でも、
最低限上記の内容については、全く分かりませんではなく、
建築家の目線としてできることはあるんだということを知っておくべきだと思います。

設計者の視点から考えることができることはたくさんあります


■Q:土地はどこがいいのか?
 A:どの土地が法規的にたくさん床面積を建てられるか調べる
   道路から見たとき、建物の印象が強く残るのか考えること
   近隣の類似施設と差別化を図れるポイントはないかの検討する

■Q:土地や建物にかかる費用はどのくらいかかるのか?
 A:周囲の土地価格の相場はどのくらいか把握する
   現在の建物の坪単価・資材の高騰状況はどのような状況か調べる

■Q:固定資産税・不動産取得税はどのくらいかかるのか?
 A:不動産評価額から、土地・建物に係る固定資産税額は決まっています
   不動産取得税も課税標準額からの率が決まっています

■Q:お金を借りるのであれば、利率は?返済年数は?どこから借りる?
 A:銀行によっても借りる金額の利率は返済の条件は違うと聞きます

■Q:減価償却は一般的な建築だとRC47年・S造34年だがどちらがよい?
 A:【いろんな視点から構造は選ぶべきです。答えは与条件で異なります】
   地盤が悪い土地なので軽量化してS造(鉄骨造)にする
   集合住宅などは居住性(音・振動)対策として、RC造(鉄筋コンクリート造)にする
   木造などであれば減価償却を短くできるので、短期間に多くの費用を経費計上できる

■Q:維持管理に係る費用はどうなのか?
 A:防水の更新時期・外壁の塗り替え時期・設備更新時期など一般的な指標を基に計算する
   建設費はかかるけれど、維持管理費用が抑えられるスペックにすることもあります
   
■Q:運営をしていく方法をどう考えるのか、その資金計画は?
 A:運営のしやすい施設計画とすることで、人件費の削減につなげることにもつながります

■Q:設計は誰に依頼する?施工は誰に依頼する?
 A:設計スキルが高いことはもちろんのこと、将来的な費用も考えて相談に乗れる設計者
   質が高い建物を施工できる、将来にわたって面倒を見てくれる施工者 


■Q:建築のプランは?
 A:発注者から設計条件を待つのではなく、上記のことも話を聞きながら、
   設計条件を最初から組み立てができる設計者


勉強すべきことはたくさんあります。
こういった知識を広げていくことは、大変なことですが人のためになることですので、一つずつ勉強をしているところです。

どのようなアプローチの仕方があるかは、折を見て掘り下げていければと思います。