デザインや意匠性についての考え方
建築設計はどんな着眼点で進めていくのか
建築計画は、基本的には今までにない発想や、新しい視点で物事を考えることが評価されます。
端的に言えば、簡単に発想できるようなありきたりな考え方は、面白くないということです。
結構、授業や講評などではバッサリ切り捨てられたこともよくあります。
新しい発想だけが全ていいのかというとそうでもありません
いわゆる独りよがりな、自己主張が強い提案などは、決してよくありません。
施主要望を無視してでも、建築家としてやりたいことをごり押しすることはNGです。
今はそこまでないのかもしれませんが、私が学生のときに建築家に持っていたイメージは、
突飛なことを提案するとか、建築家の趣味嗜好で強引に進めていく人もいるという、
イメージを持っていたことも事実です。
自分が決してそうはならないようにと、常に自分に問いかけながら設計を考えているつもりです。
いいデザイン・いい建築とは何か
建築は建てる人も違えば、必要な諸室条件も違います。
当然、気候条件も違います。見える景色も違います。
そして周囲の街並みも違えば、積み重ねられてきた、歴史性も違います。
それは量産型で進められていく建築は決してベストな回答ではなく、
【その場所で限られた予算の中でどうあるのが最もよい答えなのかを深く模索すること】が、
我々が常に大切に考えることです。
建築設計は、建てるときは必死に考えたとしても、
後々汚れやすい仕上材だったとか、必要なときに設備の交換がやたら大掛かりとか、
間取りをすこし使いやすく改修したいのに制約があってできないとか、
【将来的なことも視野に入れておくこと】もとても大事です。
具体的には、住宅で家族が増えたとか、両親を介護するため同居するようになったとか、
【ライフスタイル自体に変化があったときに、ある程度融通が利くこと】なども大事と思います。
これは公共の建物でも同様です。
建物から見える景色や風景などをうまく切り取って、
【ずっといたくなるような、気持ちの良い場所をつくっていく】ことも重要です。
ランドスケープも大切に、周辺の街並みとマッチすることも必要で、
常に膨大な条件の中常に仕事をしています。
複雑に様々なことを考えることはとても日々悩むことでもありますが、
いいアイディアが出て形になっていくことは設計の醍醐味もあります。
建築主の要望を満足し、さらにいいものを提案する
始めに建築主から全ての要望が出てくることはまずありませんが、
我々設計する立場から、+αの提案を常に投げかけていきながら、
当初イメージしていた建築を超えて、よりよいものができることがとても大切だと思います。
グッドデザイン賞の授賞式に参加したときに、
【人が今後マネしたいと思うような視点でデザインしているものを評価した】と聞きました。
建築は多くの人がいいなと思ってもらえるように、考え抜かれるべきだと強く感じています。
ぜひそう言ったところを共感していただいて、
一緒に仕事がお付き合いができる方がいればとてもうれしいなと思います。