【月と海】見学会

土曜日はJIAの見学会に参加してきました。

長崎市の茂木にある、「月と海」というホテルです。
元々は料亭だったところで、5年ほど空き家になっていたところ、
オーナーさんが改修してホテル(2F)とレストラン(1F)にしたそうです。

改修設計は株式会社オンデザインパートナーズさんです。

窓がフレームとして美しい海を絵のように切り取っています

ホテルの客室から見える借景がまず印象的でした。

窓は大きさは変えていないと聞きましたが、
客室の内装の色彩の選定が、絶妙にいいのだと思います。
窓の周囲の枠や壁が存在感が消えて、外の風景に自然に目がいくようなつくりでした。



客室のレイアウトはいろんなパターンがあり、
いろんな部屋に泊まりたくなるような設えになっていて、
設計者のコンセプトメイクもさることながら、設計の熱量がすごいなと感じました。

各室のサインもおしゃれでした。

客室に入る前の部分は廊下が、客室に比べて明るく、
個人的には内部にいながらも疑似的に外部空間を感じられるような印象を受けました。

客室に入る部分は小上がりになっていて、室外から室内に入っていくような
部屋に入ることが特別な雰囲気を感じられるような設えは、
設計者が意図していたところなのかなと感じました。

建物の中にいながら、明度や色調の変化で、
疑似的に外のような雰囲気も味わえるような空間。

いい雰囲気でした。


アルベルゴ・ディフーゾの考え方

中庭の話やレストランの話なども含めて、
建築的に書きたいことはいろいろとあるのですが、大きな考え方として、
オーナーさんが【アルベルゴ・ディフーゾ】の考え方を仰っていました。

イタリア語で「分散したホテル」という意味です。
町の中に点在している空き家をひとつの宿として活用し、町をまるごと活性化しようというものです。

ホテルの中には、シャワールームはありますが、
銭湯は茂木に2か所あるそうで、そちらを利用してもいいそうです。

2018年のグッドデザイン賞の授賞式に参加した際に、トップ6のプレゼンで同じような考え方がありました。
アルベルゴ・ディフーゾの考え方で、小さな町の建物をいくつか改修をして、
町全体を旅館と見立てて活性化させるというプレゼンを聞いてなるほどなと思いました。

こういった、人を巻き込んでのプロジェクトも面白そうですし、
とても価値があることだと思いました。

日本だけでなく、海外で取り組まれていることなども、いろいろと知識をつけていかないとと思います。
建築を見ることはもちろんのこと、いい見学会でした。