照明計画は空間の雰囲気を変える重要な要素です
照明に関する尺度は、一般的にいくつかあります。
住宅では、よく照度(明るさの単位)、色温度(照明の色味)あたりを、
まずは押えておく必要があります。
照度だけで明るい暗いの判断ができないこともあります
基本的に、照度測定とは床面がどのくらい明るいかなどの指標になります。
例えば、車を運転しているときのトンネルの中を想像してください。
夜に運転していれば、トンネルの中は明るいなと感じます。
日中に運転していれば逆に、トンネルの中は暗く感じますよね。
トンネルの中で照明器具の台数が変わっていないとすると、
外からの光が多少入る分、おそらく昼の方が照度が高いはずです。
それでも暗く感じるのはなぜでしょう。
他にもFeu値などもあります
人間の目は見やすいように自ら補正をかけるものです。
相対的になんとなく暗いな、なんとなく明るいなという照度だけでは、
図り切れない指標があります。
例えば、床面に同じ照度が出る照明を入れた場合、
壁や天井も明るいと、より空間としての明るさを感じます。
※ 以下は、パナソニックのHPを引用しています。
【Feu(フー)とはなにか。それは人間が感じる「空間の明るさ感」を定量化し、指標にしたものです。
つまり人間の目が空間を見るときの印象を定量化したものであるということもできます。
このFeu(フー)を活用すれば、設計者の感覚に任せることなく、
より客観性のある定量的な照明設計が可能になります。】
上の写真を見ると、左の方が照度が低いですが、空間としては明るく感じるかと思います。
空間をどう演出するかは、照度だけでななく、
仕上の素材・色彩、そして照明の当て方も非常に重要なポイントです。
実際に意図を持って計画している照明計画
2つ事例を上げます。
1つ目は和室の事例です。
和室は寝てゆっくりと過ごすことも想定するため、上を見てまぶしい光源が見えない間接照明としています。
天井がふんわり明るく見えるため、部屋全体が明るく感じられます。
(一方で座卓を置いて書き物、読み物をすることも想定し、ダウンライトも入れています。
2つは別のスイッチでON・OFFできます)
2つ目は、某計画建物の内観です。
基本的に日中の利用が多く、大きな開口を取れるために割と安定的な照度を確保することができます。
ただ、曇りの日なども部屋が明るく見えるような印象を与えるために、
壁の真ん中あたりに上向きの間接照明を設けて、壁を照らしています。
気持ちが明るく、上向きになるようにという願いも込めています。
具体的に、Feu値を計っているわけではありませんが、照度の数値に対して、
明るさ感を感じられる設計になっていると思います。
特に間接照明は、全体的にふわっと壁や天井を照らすため、
影などが見えないことで、空間が軽く感じられるような印象があると思います。
ダウンライトなどは、光源を見るとまぶしく感じられますが、
間接照明は光源が見えないため、
ロウソクの光のような少し柔らかな印象もあるのかなと感じています。
照明の専門の方に相談したり、CGやVRで検証したりできますので、
いい雰囲気をつくれるようにどんどん掘り下げていきたいなと考えています。