雨水排水の根拠(建物編)
梅雨で雨が多い季節です。
屋根に落ちてくる雨水の排水についてどのように考えているのか、簡単にまとめたいと思います。
建築設計においては何事も根拠があります
建物の屋根に落ちてくる雨を適切に排水するために一般的には樋を設けますが、
(デザインにとことん凝る場合は、樋も止めるケースもありますが)
その樋の数、太さなどにも必ず根拠を持って設計を行います。
一番大切なことは、想定される最大の雨が降っても、
オーバーフローしてしまわないことです。
近年は想定外の豪雨もめずらしくなく、気象庁で出している最大降雨量で計算したものの、
それ以上の雨が降ったということもありますので、必ず余裕を持って計算するようにしています。
屋根の面積 × 雨水排水の際の想定降雨量 を計算し、
樋で適切に流れていくかの確認を必ずチェックします。
雨樋にも、1本あたりどのくらいの雨量が流れるかの排水能力がありますので、
照らし合わせて樋の本数と径を決定します。
屋上でさらに壁面で雨を受けることを想定するなど、
横殴りの雨の場合なども考えておくことは必ず必要です。
クライアントの方でも、この部分の樋はなくしてほしいけどな。。。
というときがあるかもしれませんが、
柔軟に考えるとなくしたい部分の樋を別の樋の径を大きくして負担させることもよくあります。
住宅にせよ、住宅以外の建物にせよ、外観はすっきり見せたいですよね。
単なるカッコよさを追い求めるだけではなく、こういった基本や根拠を抑えた上で行うことが、
設計において大切なことだと思います。
大きな建物で光庭などを取る場合は、1本の樋だけで詰まってオーバーフローしたということがないように、
そういう場合は2本樋を設けてリスク回避するなども必要です。